当社が開発した心房細動AI「NIHA-AF」と汎用心電計の自動解析機能の比較研究

2021.12.7

当社のAIファーム「SQ Library」における実用性の向上に継続的に取り組み、業界でのブレークスルーを引き続き行っていきます

東京大学医学部附属病院と2020年10月より行っている共同研究「心不全の早期発見の目的に付随した心房細動の検知プロジェクト」において開発した、心房細動検知AI「NIHA-AF」の精度向上に成功しました。NIHA-AFは、携帯型心電計で取得可能な心電図のみで検知可能となっており、非侵襲かつ手軽に遠隔モニタリングで活用可能となっています。

当社が開発しているAI群は、携帯型心電計(AppleWatch等)で計測可能なⅠ誘導及びⅠ誘導類似の心電図を解析できるが特長の一つです。

心房細動検知システムは、ベンチャー各社で主にホルター心電図による開発が進み、また大手医療機器メーカーが販売している心電計においても自動解析機能として広く実装がすすんでおります。

携帯型心電計を活用した短時間心電図による検知ではAppleWatchにおいてその機能が開放され、一般的に使われるようになってきました。その精度については、感度81.4%、特異度80.7%と記載されています。(※1)AppleWatchを皮切りに今後この領域における心房細動検知のニーズが高まっていくことを踏まえ、携帯型心電計でも高精度に検知できるAIを開発することを目的に、東京大学医学部附属病院の医師が自動解析では難しい心電図に対して再アノテーションを行いました。(※2)

※1:https://www.apple.com/legal/ifu/ecg/Apple-Japan-Instructions-for-Use-IFU-ECG-App-1.0.pdf 臨床試験結果より

※2:57万件超のデータプールのうち、6309件を当社で抽出、その中で再アノテーション(判定見直し)となった件数は1439件(約22.8%)。

このAIモデルでは、心電図を学習する際に、波形に独自の前処理を施しますが、その前処理に時間領域と周波数領域の特徴を加えること、さらに先の再アノテーションしたデータセットを活用して再学習を施し、精度を向上させることに成功しました。東京大学医学部附属病院の57万件超のデータプールからランダムに抽出した12000件のテストデータセットを対象にした性能では感度が98.6%、特異度は98.7%となりました。

本モデルは病院で計測された心電図を学習に使ったモデルですが、当社心電くんのⅠ誘導心電図においても高い性能を示しています。

コロナ禍において遠隔診療ニーズが高まっているなか、当社はSQ Libraryを中心とした事業展開を引き続き行ってまいります。

*NIHA = Neural Intelligent Heart AnalyzerはSIMPLEX QUANTUMが開発をした数々の心電図解析AIのグループの名前です。